老人ホームの種類④
失恋141日目
グループホームとは
認知症の方が5人から9人程度の少人数でユニットをつくり、専門職員からサポートを受けながら共同生活をする施設です。
入居者ができること、できないことに応じて、洗濯や料理などの役割を担いながら暮らしているのが大きな特徴。
自分ができることは自分で行うことで、認知症の進行をゆるやかにしつつ、並行して専門職員のケアを受けられることがメリットです。
グループホームとは「認知症高齢者のための介護施設」
グループホームは、認知症の高齢者が、専門スタッフの援助を受けつつ5人から9人のユニットで共同生活する介護福祉施設です。
「認知症対応型老人共同生活援助施設」とも呼ばれるグループホームでは、それぞれの入居者の能力に応じて、料理や掃除といった役割を担いながら暮らしていくのが、ほかの老人ホーム・介護施設と大きく異なる点です。
超高齢社会を迎えた今、認知症の方は増え続けています。
そんな認知症の方が安心して暮らせるよう、グループホームの数も増加傾向にあります。
入居条件は医師から「認知症」の診断を受けていること
グループホームに入居できるのは、以下のような方です。
- 65歳以上の高齢者で、かつ要支援2または要介護1以上の認定を受けている方
(※特定疾病を持っている場合は65歳未満でも入居可能な場合がある) - 医師に認知症の診断を受けた方
- 集団生活を営むことに支障のない方
- 施設と同一の市区町村に住民票がある方
少人数での共同生活が基本
グループホームの定員は、「ユニット」と呼ばれる単位で表します。
1ユニットは5~9人で、1つの施設につき原則2ユニットまでと決められています。
なぜ、1ユニットは最大9人と小規模なのでしょうか。
その理由は、認知症の方に心穏やかに暮らしてもらうため。
認知症の方は、新しく出会った人や、新しいものを覚えたり認識したりするのが難しいと言われています。
100⼈などの⼤⼈数の施設では、⼊居者や職員などが⽬まぐるしく変わるもの。
ですから、認知症の⾼齢者が⼼を落ち着けて生活しづらくなります。
こうした環境は、認知症を悪化させ、さまざまなトラブルを起こす可能性もあります。
その点、1ユニット9⼈という小規模のグループホームなら、⻑く⽣活するうちに職員やほかの⼊居者を認識し、お互いに理解しあえる関係を築きやすくなります。
認知症の方にとって、住み慣れた家を離れて生活するのは不安が大きいもの。グループホームは「家庭にできるだけ近い環境で、地域社会に溶け込んで⽣活する」ことを目的としているので、認知症の方が安心して暮らしやすい環境です。
生活保護でも入居が可能な施設もある
生活保護を受けている場合でも、グループホームに入居することは可能です。すでに生活保護を受けている方で、これから入居先となるグループホームを探す場合は、以下の3つのポイントを確認しましょう。
- 生活保護法による指定を受けたグループホームであるかどうか
生活保護の方は、指定を受けている施設に入居する必要があります。 - 生活保護対応の居室がどのくらい設置されているのか
グループホーム全体が生活保護の受け入れに対応している施設と、一部の居室のみ対応している施設とがあります。 - グループホームと同じ所在地に自分の住民票があるか
グループホームは地域密着型施設ですので、入居対象となるのは施設と同地域に住民票を持つ方です。もし入居したい生活保護対応型のグループホームがほかの居住地域にある場合、住民票を移して、その自治体で改めて生活保護申請を行う必要があります。
メリットとデメリットを詳しく知る
メリット
ここからは、グループホームに入居することのメリット・デメリットについてみていきましょう。
まずはメリットからです。
- 少人数でアットホームな介護を行っている施設が多いので、職員と顔なじみになりやすく、認知症高齢者の混乱を少なくできる
- 認知症ケアの知識と経験を豊富に持つ職員が常駐
- 生活上の家事全般を職員と一緒に行うことにより、日常生活それ自体が認知症のリハビリにもなるので、より症状の進行を遅らせることができる
- 有料老人ホームに比べると低価格
- レクリエーションが充実している施設が多い
- 高齢者が長年住んできた地域から離れずに済む
グループホームを選ぶメリット
認知症症状の進行を和らげることにつながる
認知症を発症しても、何もかもわからなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。
そのためグループホームでは、職員にサポートしてもらいながら、料理や洗濯といった家事全般を基本的に自分で行います。
こうした自立した生活が、認知症の進行を遅らせることにつながるのです。
「認知症の高齢者は何もできない」と決めてかかるのではなく、入居者が持っている能力(残存能力)をしっかりと活かしていくというのが、グループホームにおける介護のあり方と言えます。
認知症ケア専門の介護職員に任せることができる
グループホームに常駐する職員は、認知症ケアの知識と経験が豊富です。
ほかの介護施設だと、「認知症受け入れ可」とうたっていても、認知症の知識と経験が豊富な職員がいるとは限りません。
グループホームであれば、入居者の日常生活のお世話から精神的なケアまで、職員がしっかりと支えてくれます。
高齢者が長年住んできた地域から離れずに済む
グループホームは、高齢者が住み慣れている地域で長く生活を続けられるように創設された「地域密着型サービス」のひとつ。
そのため、入居対象となるのは、施設と同じ市区町村の住民票を持っている人となっています。
入居者は慣れ親しんだ地域から離れずに済むので、環境変化によるストレスを小さくすることができます。
また、同じ地域に住んできた人同士で共同生活を送れるので、入居者同士でのコミュニケーションも取りやすいといえるでしょう。
定員が少数なので、入居者同士でコミュニケーションを取りやすい
少人数制であることはグループホームの大きな特徴と言えます。
5~9人からなる「ユニット」を構成し、共同生活はすべてユニットごとに行われます。
ひとつの施設あたりのユニット数は原則最大2ユニットです。
認知症の高齢者にとって、人の入れ替わりが多い大人数の施設はストレスを感じやすくなります。
認知症の症状により顔や名前が覚えにくくなるので、人付き合いがおっくうになる人もいます。
グループホームの場合、日常的に顔を合わせるのはユニット内の入居者だけですし、入居者のサポートを行う職員もほとんど決まっています。
顔なじみ同士で会話もしやすく、落ち着いた環境の中で日々の生活を送ることができます。
デメリット
続いて、グループホームへ入居するとどんなデメリットがあるかについてみていきましょう。
- 地域密着型施設なので、施設のある地域に住民票を持たなければ入居できない
- 介護保険の「要介護1以上」の認定を受けていなければ入居できない
- 看護師の配置義務がないため、多くの施設では医療ケアへの対応力に限界がある
- 少人数なので、もし入居者同士の相性が悪くなっても、調整が難しい
- 定員が少ないため、すでに満室のことが多く、即入居が難しいケースが多い
初期費用と月々の費用の内訳
グループホームに入居する初期費用として、必要になってくるのが入居一時金や保証金です。
入居後は月額利用料として、食費や居住費といった生活費のほか、介護サービス費を支払います。
初期費用の保証金は敷金にあたり、入居一時金は施設の使用権利を得るための費用です。
初期費用は数十万~数千万円と施設によって大きな開きがあります。
月々の費用のうち、居住費は、居室の大きさなどの施設の設備や地域などによって左右されることが多く、一般的には都市部の方が高いと言われています。
また、介護サービス費は入居者の要介護度に応じて変わり、要介護度が重くなるほど高くなるように設定されていることがほとんどです。
そのほかの雑費としては、理美容費や娯楽費、光熱費やおむつ代などがあたります。
こうした費用がいくらになるのかを施設にしっかりと確認してくださいね。
老人ホームの種類③
失恋140日目
- サービス付き高齢者向け住宅とは
- サービス付き高齢者向け住宅とは「安否確認・生活相談」ができる高齢者住宅
- 費用は敷金と月額利用料に分けられる
- 入居条件は「自立可能な高齢者」が基本
- トラブルからサ高住を退去しなければいけない場合も
- 人員基準は看護師や介護福祉士などが常駐していること
サービス付き高齢者向け住宅とは
サービス付き高齢者向け住宅は介護施設ではなく、あくまで住宅として扱われる住まい。
外出や外泊できるケースが多く、自由度の高い生活を送れる点にメリットがあります。
この”サ高住”には「一般型」と「介護型」があり、一般型で介護を受ける場合は、外部事業者による居宅サービスを利用。
介護型(特定施設)の場合は、担当の介護職員が介護サービスを提供します。
なお、高齢者向けの公的な賃貸住宅としてシルバーハウジングがありますが、実際には民間のサ高住が同様の役割を果たしています。サービスの内容・質の面において、シルバーハウジングとサ高住の間に大きな差はありません。
また、かつて高齢者専用賃貸住宅(高専賃)、高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)といった民間の高齢者向け住宅がありました。現在では制度上、高専賃、高優賃ともにサ高住に組み込まれています。
サービス付き高齢者向け住宅とは「安否確認・生活相談」ができる高齢者住宅
サービス内容を柔軟にカスタマイズできるのが特徴
「老人ホームを検討しているけど、今のところ介護は必要ないし、ある程度のことは自分でできる」という方も多くいらっしゃると思います。
そんな方におすすめなのがサービス付き高齢者向け住宅。
厳密には老人ホームではありません(老人福祉法に基づく有料老人ホームの要件を満たしている場合は該当するケースもある)が、⾼齢者が安全かつ快適に暮らせるよう、「⾼齢者住まい法」という法律のもとにバリアフリー構造の高齢者住宅として整備されています。
サービス付き高齢者向け住宅は、利用者の希望や、要介護度に合わせてサービス内容を決めることができるというのが最大の特徴です。
設立するにあたって国から補助金が出るため、今後はさらに施設数が増え、より多くの方に利用されることが予想されています。
サ高住は安否確認と生活相談がメインサービス
サービス付き高齢者向け住宅は、民間事業者などによって運営される介護施設で、「サ高住」「サ付き」などと略されることもあります。
2011年の「高齢者住まい法」改正によって創設され、現在まで順調に施設数が増加しています。
このため、公的な介護施設への入居待ち問題が深刻な昨今、民間による介護施設の充実という点で、大きな期待が寄せられています。
サービス付き高齢者向け住宅は、基本的には「介護の必要がない、比較的に元気な高齢者のための施設」です。
有料⽼⼈ホームが要介護度の⾼い⼈の受け⼊れを前提とし、⼊浴・排泄・清掃など⽣活全般の介助、⾷事の提供、健康管理を行うのに対し、サービス付き⾼齢者向け住宅で義務付けられているのは以下の2つ。
- 安否確認サービス
- 生活相談サービス
サービス付き高齢者向け住宅は有料老人ホームのように介護サービスの提供がない分、自由度の高い生活ができることが特徴なのです。
ですが最近では、有料⽼⼈ホームとサービス⾯で遜⾊のない施設も増えているので、施設ごとにしっかりと比較して吟味することが大切です。
サ高住として登録されるための基準
事業者がサービス付き高齢者向け住宅を自治体に登録するためには、いくつかの基準を満たさなければなりません。
その基準とは、規模と設備に関する基準、見守りサービスに関する基準、契約に関する基準です 。
費用は敷金と月額利用料に分けられる
サービス付き高齢者向け住宅に入居するには、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
サービス付き高齢者向け住宅に入居する際に結ぶ契約は、基本的に賃貸借契約です。
そのほか、月額でかかる費用に家賃・管理費・食費・水道光熱費・生活サービスの提供費などがあります。
「特定施設入居者生活介護」として指定されていないサービス付き高齢者向け住宅では、外部の介護サービスを利用することになるため、介護保険の料金は、自宅で訪問介護やデイサービスを利用するときと同じになります。
一部のサービス付き高齢者向け住宅では、収入などに応じて家賃補助を受けられる場合もあります。
家賃補助を実施している地域や対象となる住宅、補助の内容や要件は、自治体によっても異なるため、詳細については各自治体のサイトなどで調べてみましょう。
入居条件は「自立可能な高齢者」が基本
サービス付き高齢者向け住宅では、「高齢者住まい法」という法律によって入居条件が定められています。
入居申請をする前に、まずは入居条件がご自身の状態に合っているかを確認するようにしましょう。
「60歳以上の高齢者か、要介護認定や要支援認定を受けた60歳未満の方」が入居対象者で、以下は同居できる方の条件です。
- 配偶者
- 60歳以上の親族
- 要介護・要支援認定を受けている親族
- 特別な理由により同居させる必要があると知事が認める者
そのほかの条件
サービス付き高齢者向け住宅の多くは、自立して身の回りの世話ができることを入居の条件としています。
このため認知症には対応していない施設がほとんどですが、積極的に受け入れている施設がないわけではありません。
サービス付き高齢者向け住宅が独自の入居条件を設けている例も珍しくありません。
興味をひかれる施設を見つけたら、入居条件を詳細に確かめるようにしましょう。
トラブルからサ高住を退去しなければいけない場合も
サ高住の退去条件
次のような場合は、サービス付き高齢者向け住宅の退去を要求されることが多いです。
- 体調の悪化や要介護度の進行で、それ以上の入居が難しくなった場合
- 月々の賃貸料を支払えなくなった場合
- ほかの入居者や職員、施設側にとって迷惑と感じられる行為などが発生した場合
病気や怪我のために、長期的な入院をすることになった場合は注意が必要でしょう。
この点はほかの介護施設、例えば有料老人ホームなどでも退去の理由になることが多いです。
ただし、入院生活が長引いてもそれだけで退去条件とみなされるわけではありません。
その間、賃貸料の滞納などがなければ問題視されない可能性が高いです。
また、認知症が進行すると、周囲の入居者との間でトラブルが起きる可能性が出てくるため、注意が必要です。
サービス付き高齢者向け住宅によっては、退去を求められる条件がはっきりと決められています。
ですから、入居するときは契約内容をすみずみまで確認してくださいね。
人員基準は看護師や介護福祉士などが常駐していること
サービス付き高齢者向け住宅では、安否確認と生活相談のサービスが必須と決められています。
このため日中は、看護師や介護福祉士といった指定の資格を持った担当スタッフが常駐します。
夜間については、常駐は義務付けられていませんが、何かあったときに速やかに駆けつけることができる状態にすることが義務化されています。
サービス付き高齢者向け住宅は、入居者に安全や快適な生活を提供することを目指した施設なのです。
老人ホームの種類②
失恋139日目
住宅型有料老人ホームとは
住宅型有料老人ホームは、介護が必要ない自立の方からある程度の要介護度がある方まで幅広く多く入居する施設です。
老人ホームの特徴である、生活を充実させるためのイベントやレクリエーションが充実しており、ほかの入居者とコミュニケーションをとって楽しく生活できることが魅力です。
イベントが充実しているのが特徴
日々の生活が充実する
住宅型有料老人ホームには、自立の方や要介護度が軽度の方が多く入居しています。
そうした入居者が楽しめるよう、多くの施設ではレクリエーションやイベントを充実させています。
入居後は、入居者同士でコミュニケーションを取りながら楽しく日々を過ごすことができ、レクリエーションは毎日の生活の活力になるでしょう。
レクリエーションが盛んな施設では、囲碁や将棋のほか、華道や茶道などの講師を呼んで本格的な習いごとを実施しているところもあります。
レクリエーションには⼼⾝機能やコミュニケーション機能を維持・向上させる効果が期待できます。
住宅型有料⽼⼈ホームに入居すると、その効果を得やすくなるのは大きなメリットですね。
高齢者が安心して生活できる設備を完備
ほとんどの施設はバリアフリーで、⼿すりやスロープが多く設置しています。
高齢者が安⼼して⽣活できる環境がしっかりと整えられているのです。
入居一時金と月額利用料
ここでは、住宅型有料老人ホームに入居するとかかる費用についてみていきましょう。
・入居の条件 自立・要支援・要介護
・入居期間 原則として終身利用
・入居一時金 80万円(平均値)
・月額利用料 13万円(平均値)
⼊居にかかる費⽤は、⼊居⼀時⾦と⽉額利⽤料があります。
月額利用料には一般的に、家賃・管理運営費・⾷費・⽔道光熱費などの雑費のほか、介護保険の⾃⼰負担分(通常1割で、所得によっては2割〜3割)が含まれます。
介護サービス費は「使っただけ」支払う
住宅型有料老人ホームで介護保険を利用する場合は、自宅で訪問介護やデイサービスを利用する場合と同じように、介護度と地域によって1割負担で対応できる上限額が決まっています。
介護度の重い⽅では介護サービスを利⽤する回数が多くなり、介護保険の支給上限額を超えやすくなります。
上限を超えると、超えた分の介護サービス費用は10割、つまりすべてが⾃⼰負担となってしまいます。
一方、介護度の低い方にとっては、介護サービスを利用する回数が多くないので介護保険の上限を超えることも少なく、費用が安く済ませることができます。
サービスは必要なものを組み合わせて利用
住宅型有料⽼⼈ホームの特徴のひとつが、さまざまな⽣活援助サービス、介護サービスを入居者の必要に応じて⾃由に組み合わせて利⽤できるということです。
生活援助サービスの内容には、⾷事の提供、洗濯、掃除、見守りおよび生活相談といったものがあります。
一方、介護サービスは、居宅介護⽀援事業所を通して受けることができます。
居宅介護⽀援事業所は施設に併設していることがほとんどなので、その場合は契約から利⽤までの⼿間を⼤幅に短縮できて⾮常に便利です。
医療サービスの充実度については、法律で看護職員を配置するように定められていないので、施設によって大きな差があります。
ですが、仮に看護職員が配置されていない施設であっても、訪問看護を通して看護職員からのサポートを受けることができる施設もあります。
施設によっては医療機関と連携していて、内科の往診や⻭科の検診を受けることもできますよ。
こうしたさまざまなサービスを、入居者の心身状態(自立~要介護5)に適した形で上手に組み合わせることで、快適な生活を実現できるのが住宅型有料老人ホームの大きな特徴です。
介護・医療
外部の介護サービス事業者、医療機関と連携し、健康管理や療養に必要なケアなどの提供もしています。
住宅型有料老人ホームのなかには、訪問看護に対応している施設もあります。
そうした施設なら、結核やMRSAなどの感染症にかかっている方や、胃ろう、ストマ、気管切開などで医療⾏為が必要な方でも安心して利用できますよ。
介護サービスは外部の事業者と契約する
施設に入る以前から自宅で介護サービスを利用していた方のなかには、「入居後も同じサービスを利用し続けたい」と思う方も多いのではないでしょうか。
住宅型有料老人ホームでは、在宅介護の場合と同様、訪問介護やデイサービスなど介護保険の居宅サービスを利用することになるので、自分の受けたい介護サービスを自由に選択することができます。
自宅で受けていた介護サービスを継続利用することもできるので、その点は施設介護を行う介護付き有料老人ホームにはないメリットですよね。
ただ、外部サービスを利用することになるため、24時間体制の介護サービスを受けられない場合もあるので注意してくださいね。
医療ケアは自ら出向く必要がある
住宅型有料老人ホームは、医療ケアを提供することを前提とした施設ではありません。
外部の医療機関と連携している施設もありますが、医療に関する規定が特になく、医療体制が整っていない住宅型有料老人ホームも珍しくありません。
そういった施設の入居者が医療ケアを受ける場合は、基本的に自ら医療機関に出向く必要があります。
介護保険の利用は、限度額内なら1割負担
住宅型有料老人ホームは、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けていないので、介護保険サービスを提供することができません。
とはいえ、入居後に介護保険サービスが利用したくなることもありますし、そもそも入居時点で介護が必要な場合もありますよね。
住宅型有料老人ホームで利用できる介護保険サービスは、「通所介護」や「訪問介護」などの在宅介護サービスです。
また、近年では、施設内に訪問介護事業所やデイサービスを併設し、介護付き有料老人ホームと同程度の介護ケアが受けられるところも少なくありません。
さらに、福祉用具のレンタルも介護保険を利用して受けることができるため、ほぼ自宅で生活するのと同じ感覚で介護保険サービスが利用できると考えていいでしょう。
介護保険サービスの料金も、自己負担限度額以下であれば1割(所得によっては2割~3割)の自己負担で引き続き利用することができます。
なお、住宅型有料老人ホームの多くが生活相談員として介護支援専門員(ケアマネジャー)や社会福祉士を配置しています。
介護保険サービスが自己負担の限度額内となるように、ケアプランを作成してもらえるケースもあります。
「これまで通っていたデイサービスを継続して利用したい」など好きな介護事業所にしたい場合には、気軽に相談してみましょう。
食事は個別に対応できる
食事は栄養士の管理のもと、1日3食に加え、多くの施設でおやつの提供が行われています。
食事に関しては、食べ物を咀嚼する力や飲み込む力が弱い方、あるいは塩分摂取量の調整が必要な方やアレルギーを持っている方など、入居者の状態に合わせて個別対応してくれる施設がほとんどです。
入居者の好みに合わせた食事の用意も
ソフト食
食材をゆでたり、煮込んだりして柔らかくした食事です。
噛む力が弱くなった方や飲み込む力が衰えた方に向いています。
きざみ食
食材を細かく刻んだ食事です。
噛む回数が少なくて済むので、噛む力が弱くなった方や飲み込む力が衰えた方などに向いています。
ミキサー食
食材をミキサーにかけて、飲み込みやすくした食事です。
飲み込む力が衰えた方に向いています。
施設で出されている食事は、見学時に試食できることが多くなっています。
毎日食べる食事ですから、入居者の口に合っていることが大切。
試食が可能な場合は必ず申し込んで、実際に口にしてみるようにしましょう。
家族が楽しめる食事関連のイベントも多種多様
住宅型有料老人ホームはレクリエーションが充実しているだけでなく、食事関連のイベントに力を入れている施設も多いです。
入居者の家族を招いてマグロの解体ショーを行う施設や、定期的に出張のすし屋がやって来る施設、職人が目の前で作った打ち立てのそばを味わえる施設などもあります。
どのようなイベントが行われているかは、事前にパンフレットなどで確認できるので、こうした催しものが好きな方は要チェックですよ。
設備は施設で異なるので、事前に見学を
住宅型有料老人ホームには、高齢者の生活を支えるさまざまな設備が備わっています。
居室や浴室などの基本的な共同設備をはじめ、食堂とリビングを兼ねる共同生活室、さらには理美容室や売店、健康管理室などを備えている施設も多いです。
ただ、施設ごとに設備状況は大きく異なり、利用者の要望または費用に応じて、豊富なバリエーションがあります。
特に施設によって差が大きいのは、居室と共同生活室です。
それぞれの広さに加えて、居室ではトイレや浴室、キッチンなどの設備、共同生活室ではアトリエ・カラオケ・麻雀卓・図書室の有無などで差が出てくるのです。
なかにはフィットネス室・プール・ゲストルームを備えている施設もあります。
事前に見学などを重ねて、施設ごとの特徴をしっかりと見極める必要があります。