老人ホームの種類⑦
失恋144日目
介護老人保健施設(老健)とは
介護老人保健施設、通称「老健」は、退院後すぐに在宅生活に復帰できない状態の高齢者が、数ヵ月程度滞在することを目的とした施設。
リハビリを重視している人が選ぶ老人ホームとして適しています。
入所者の在宅復帰を目指した施設のため、ほかの介護施設に比べて入所期間は短いことが特徴です。
リハビリの専門職である理学療法士や作業療法士などが常勤しており、質の高いリハビリが受けられます。
初期費用がかからず、民間よりサービス費用が抑えられることも魅力です。
なお、申し込みから3ヵ月~半年くらいでの入所となることが特養と比べて早いと言われることも多いですが、それぞれの施設の役割は異なっているので、入居時には各施設の違いを理解したうえで検討してください。
介護老人保健施設とは
介護老人保健施設(老健)は、長期入院をしていた方が、退院して家庭に戻るまでの間に利用されることの多い施設です。
入所中は介護・看護といったサービスに加えて、医師のサポートを受けられます。
また理学療法士や作業療法士など、リハビリを行うスタッフが常勤しているのも魅力的ですね。
リハビリや医療ケアを目的とした施設
老健は専門スタッフによるリハビリを通じ、入所者が在宅復帰することを目的としています。
「入院はもう必要ないけれど、自宅の暮らしに戻るのはまだ不安」…という方にうってつけの施設です。
老健には介護士のほかに医師や看護師が配置され、入浴や排泄などの介護サービスに加えて、リハビリ・医療ケアも充実。
暮らしの準備が整うまでの待機期間を安心して過ごすことができます。
居室や生活設備は共有
設備面から見た老健の特徴は、機能訓練室が充実しているという点です。
入所者がリハビリに取り組むうえで必要な器具がそろっています。
そのほか、キッチンやトイレ、浴室など生活に必要な設備も一通りそろっていますが、基本的にすべて共有設備で、個人用の設備は用意されていません。
食堂やリビングも共同利用となっています。
居室の形態は、大きな部屋を2~4人で共同利用する「従来型多床室」と、ひとつの部屋を1人で利用する「従来型個室」、そして個室と10人ほどで共有する生活設備がセットになっている「ユニット型個室」の3タイプです。
施設ごとに居室のタイプは異なっていますが、施設のほとんどが従来型多床室となっています。
特別養護老人ホームと同じく、老健でもユニット型個室への切り替えが行われていますが、あまり進んでいないのが現状です。
老健の入所条件・入所手続き
老健の入所は、原則65歳以上で「要介護1」以上の介護認定を受けていることが条件です。
そのほか、伝染病などの疾患がなく、病気での長期入院などを必要としないことなど、施設によって条件が異なります。
入所の申請には、施設への申し込みから面談・主治医意見書・診断書を通して、本人の健康状態や介護度を審査し、入所判断を行っています。
老健の入所難易度はそれほど高くない
「老健に入れてほしいと思っても、すぐに入所が認められなかった」。
そのようなケースはもちろんありますが、介護施設の中では入所の難易度が低いと言えます。
老健は基本的に、3~6ヵ月しか利用できません。
現在満室だとしても、すぐに空きができるので、入所まで長期間待たされる可能性は自然と低くなるのです。
特に首都圏の場合、施設数がもともと多いため待機者が少ない傾向があります。
リハビリで「在宅復帰」を目指すのが特徴
老健の介護・医療
老健では、看護師やリハビリを目的とする理学療法士・管理栄養士などの専門スタッフがサポートする形で自宅復帰を目指しており、個人の状態に合わせたリハビリサービスが受けられます。
老健は基本的にリハビリが必要な人が入所する施設なので、医療ケアが必要な方の入所を広く受け入れています。
特に、床ずれの予防・対応やたん吸引など、日中に限らず深夜にもケアが必要な人にとっては、心強い味方となることは間違いありません。
医師の常勤が義務づけられている
老健では入所定員100人あたり最低1人の医師が常駐し、利用者の医療ケアや健康管理、緊急時対応などを行うことが義務づけられています。
特別養護老人ホーム(特養)の人員体制と大きく違うのがこの点。
特養では医師の配置は義務づけられているものの、非常勤でもかまいません。
このため、施設で医師が診察などを行うのは、おおよそ週に2回という場合もあります。
一方、老健であれば常勤の医師がいるため、利用者の状態などをこまめに把握したうえで医学管理を行うことができます。
老健のサービス内容
ここでは、老健の入居者が受けられるサービスの内容についてまとめました。
リハビリだけでなく、医療や看護、栄養管理、介護も徹底していて、入居者や家族にとって安心できる内容となっています。
リハビリ
高齢者が早めに自宅での生活に戻れるようにするため、どこの老健でもリハビリに力を入れています。
少なくとも週に2回のペースでリハビリを受けられます。
希望すれば、最初の3ヵ月間は週3回以上のペースで受けられる場合もあります。
1回の時間は20~30分で、ベッドから起き上がって車椅子に移る訓練をしたり、自力歩行の訓練をしたりといった日常生活に即した内容が中心になります。
医療・看護
必ず1人以上の医師が常勤していて、入居者の体調管理を行っています。
看護師の数も特養と比較すると充実していて、たん吸引やインスリン注射、経管栄養などに対応しています。
ただ、医師・看護師ともに、施設によっては日中しか常駐しないことがあります。
介護関連
食事や入浴、排泄や着替えの際に助けが必要であれば、状況に合わせた介助を受けられます。 また、居室の掃除、洗濯、買い物といった生活支援サービスも受けられます。
栄養管理
定員100人以上の老健には、栄養士を1人以上配置することが定められています。
毎日の献立は、栄養士の監修下で決められます。
また、利用者の持病や嚥下能力などに合わせた配慮も受けられます。
待機期間は3ヵ月程度
入所者の在宅復帰が目的のため、老健の平均在所日数は約1年と、ほかの入所型介護施設に比べて短い傾向にあります。
そのため、申し込みから3ヵ月~半年くらいで入所できるケースが多くなっています。
特別養護老人ホームよりは早く入れるとはいえ、申し込みから入所までの期間はそれなりに必要です。
また、施設によっても人員体制や定員の関係で入所基準・条件は異なります。
だからこそ、早め早めに申し込みや情報収集をして、計画的に入所までこぎ着けられるように心がけていきましょう。