派遣の抵触日とは?②
失恋135日目
それではまず事業所単位の抵触日についてみていきましょう。
事業所単位の抵触日とは?
事業所単位とは?
派遣法では『同一の派遣先(事業所)に労働者を派遣できる期間は3年を限度とする』と定められています。
ある事業所で初めて派遣スタッフを受け入れてから3年を超えると抵触日を迎え、以降は派遣スタッフの受け入れはできなくなります。
ここでいう事業所とは、基本的に『雇用保険の適用事業所』と同じです。
雇用保険の適用事業所とは?
一般的に次の3つの要件を満たす事業所が雇用保険の適用事業所に該当します。
・場所的に独立していること
・経営単位として一定の程度の独立性(ある程度の人事決済権)があること
・施設としての継続性がある(催事店舗などではない)こと
簡単にいうと、『ある程度の人事決裁権を持った店舗=雇用保険の適用事業所=派遣法でいうところの事業所単位』となるわけです。
あるアパレルブランドの店舗で初めて派遣スタッフを受け入れたときの事業所と事業所単位の抵触日の考え方を例示します。
A)企業がその店舗単体で雇用保険の適用事業所を設置していた場合
店舗で初めて派遣スタッフを受け入れてから3年を超えた日が事業所単位の抵触日になります。
B)企業がその店舗と近隣店舗をまとめて雇用保険の適用事業所を設置していた場合
近隣店舗を含めて初めて派遣スタッフを受け入れてから3年を超えた日が事業所単位の抵触日になります。
C)企業が企業全体で雇用保険の適用事業所を設置していた場合
企業全体で初めて派遣スタッフを受け入れてから3年を超えた日が事業所単位の抵触日になります。
3年を超えて派遣社員を受け入れるためには?
それでは1つの事業所では3年を超えて派遣社員を利用することはできないのでしょうか?
実は、この3年間の期間制限は企業が従業員に対し『意見聴取』することにより延長が可能です。
先述の通り、3年を超えて派遣スタッフを受け入れるような事業所は慢性的な人手不足であり、本来ならば正社員を登用すべきと考えられます。
それに対し、『事業所の従業員が派遣スタッフの受け入れに対して同意をしているのであれば、そこは認めますよ』という逃げ道を作ってくれているのです。
また、これとは別で無期雇用の派遣スタッフであれば事業所単位の抵触日の制限を受けることはありません。
意見聴取の方法は?
意見聴取は『事業所単位の抵触日の1ヶ月前まで』に企業の労働組合(ない場合は過半数代表者)に対して『書面』にて行う必要があります。
なお、この意見聴取は『事業所単位』ごとにおこなってください。
聴取すべき内容は下記の2点で、これを書面にて締結し3年間保管をしておく必要があります。
・抵触日を延長したい事業所名
・延長しようとする派遣期間(3年以内)